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2010年11月の記事

2010年11月29日

010:伊勢神宮 

昨晩マンマミーヤの事を書きましたが、万が一ここでの発言がきっかけでその方面へ行かれる方がいらっしゃるとすれば、名古屋市内から車で2時間くらいかかりますから、 せっかくなら色々見られたほうが良いと思いますので最寄りの”やまほん”や、”而今禾”の事も書いておこうと思います。

味のある町並みが残る宿場町である関にある而今禾はギャラリーを併設したレストランで、やまほんは伊賀にあるギャラリーを併設したカフェです。マンマミーヤを含めてこの3店は大自然の中に突如として現れ、訪れる人の五感を強く刺激します。信じられないような僻地にありますが、そのマイナス要因を無視できるような確かな魅力を持っています。
いつ行ってもカフェは賑わい、ギャラリーには数人のお客さんがいるのだから本当に驚きです。東京にはないタイプのお店だと言えます。

さらにもう少し脚を伸ばせば伊勢神宮にも行く事ができます。品格のあるデザインが随所に見られるこの場所で、最上のものを創る機会に装飾を排し、質素な素材を選択した造営当時のデザイナーの勇気を体感するのもお勧めです。

下の写真はちょうど一年前に訪れた伊勢神宮の写真です。

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2010年11月29日

009:HIGASHIYAノシゴト展 

今年の秋は幸いなことに仕事で方々へ行く機会を頂き、様々な場所で美しい紅葉を見る事ができました。
下の写真は敷地確認のために訪れた山中湖の紅葉です。

秋は紅葉も食欲も芸術も楽しめる楽しい季節です。

六本木方面では芸術の秋らしい、気になるイベントが目白押しです。

 ■HIGASHIYAノシゴト展
会場:ギャラリー ル・ベイン

会期:11月23日~12月3日

時間:11:00~19:00
http://www.le-bain.com/gallery/lebain/index.html

我々が400年も前に造営された桂離宮の美しさに感動するように、400年先の日本人は現代のどのデザインを見て感動してくれるのか。そんな事を考えていると、古いものを守るだけではなく今の時代を感じられるものを創ることの重要性に気付きます。

それは昔ながらのデザインにしがみつくのでも、全く新しいものを生み出そうとするのでもなく、これまでの流れを汲みながらも我々日本人が持つ感性を最大限に活かし、デザインを新しく更新していくことではないかと思います。

その一例として大変勉強になる展示がHIGASHIYAMA TOKYOHIGASHIYAを運営するSIMPLICITYによる「HIGASHIYAノシゴト」展です。SIMPLICITYはメディアなどへの露出が少ないデザイン事務所という印象ですので、今回の展示は仕事の細部を知る事のできる貴重な機会だと思います。

また、お隣のギャラリーMITATEでは川端健夫氏による「木・ぬくもりの道具としつらい」展が開催されており、こちらでは美しい木の器に出会うことができます。氏は滋賀県甲賀市の丘の上にある廃校になった小学校をリノベーションし、美味しいお菓子を頂けるカフェとギャラリーを併設した工房マンマミーヤを構えておられますが、僕も以前そこを訪れ、川端氏に直接ご説明いただいた木のトレーを愛用させていただいているファンの一人ですから、東京でまた氏の作品に出会えた事をうれしく思っています。

■川端健夫展 「木・ぬくもりの道具としつらい」
会場:ギャラリーMITATE

会期:11月23日~12月5日(月曜定休)

時間:11:00~19:00

http://www.le-bain.com/gallery/mitate/index.html

他にもこの界隈で注目の展示がありますので残りの僅かな芸術の秋をこれらの展示を見ながら満喫したいものです。

■TOTOギャラー・間 25周年記念展「GLOBAL ENDS - towards the beginning」
会場:TOTOギャラー・間
会期:11月19日~2月26日
www.toto.co.jp/gallerma/ex101119/index.htm

■「REALITY LAB ― 再生・再創造」展
会場:21_21 DESIGN SIGHT 
会期:11月16日~12月26日
http://www.2121designsight.jp/

yamanaka

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2010年11月27日

008:Panasonic 

最近パナソニックが発表した海外向け電化製品の記事を見ました。そこに写っていたのはカッコいい冷蔵庫と洗濯機。無駄な装飾や奇妙な曲線の無いクールなデザイン。それでいて重厚感があり、まるでドイツの高級家電のようでした。
国産家電は性能がいいのにデザインが受け入れられないう話をよく耳にします。
実際にこれまでに設計した住宅の半分近くはミーレやガゲナウ、AEGなどの海外電化製品を要望され、納入しています。
国産電化製品にも魅力的なモデルがあればコストダウンも図れますし、メンテの面でも安心ですから、このような商品の登場を切望していました。しかし、この記事で紹介されている商品はあくまでも海外向けとのこと。国内メーカーの製品なのにもどかしいものです。
以前にトヨタがカリフォルニアに構えていた「NUMMI」のデザイン部門を見学させていただいた際にも同じ事を感じました。
そこから生まれた当時のアメリカ向けモデルの車は美しいのに国内では魅力的な車種が見当たらないことが不可解でした。
そこでは日本人デザイナーが働いていましたから、日本人にセンスが無くて海外の方にセンスがあると言う単純な話でもなさそうです。
カッコいいデザインが国内で流通しないのには的外れなマーケティングの存在が大きいのではないかと思います。
大阪地検特捜部が供述を捏造していたようにストーリーが造られたマーケティングも少なからずあって、デザイナーはそれに忠実にデザインを生み出しているのではないでしょうか。
はたしてどれだけの人が家電に無駄な装飾や、収まりの悪い曲線や、奇妙な色の組み合わせを求めているのでしょうか?
モノが溢れてしまい感覚が麻痺しているのは事実かもしれませんが、消費者はそれほどナンセンスではないはずです。
疑わしいマーケティングに頼らないモノ造りに関わっていきたいと思っています。
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2010年11月26日

007:MOCOLOCO 

カナダのデザイン系WEBマガジンMOCOLOCOでトコノマが取り上げられています。http://mocoloco.com/fresh2/2010/11/24/tokonoma-display-surface-by-h220430-design.php
DESIGNTIDEでの展示以降、海外から問い合わせが沢山届くようになりました。
これらの反応を見ていると世界のデザインの勢力図のようなものがおぼろげながら見えてきます。
メールの送信元はフランス、イタリア等の欧州と並んで中国、韓国などアジアが予想外に多いのです。
アジアでは経済の発展とともに我々のデザインのような従来の枠から少し外れたようなものにまで関心を示す人の数が増えていることがうかがえます。
アジアのメディアからの問い合わせも多く、このようなデザインを取り上げるメディアが多く存在している事にも驚きました。
関心が増えれば当然作り手も増え、いずれはデザイン先進国がアジアのどこかから出現するのかもしれません。
さて、おぼろげに見えてきたその勢力図の中で気になったのがやはり日本です。

自分のプレゼン能力の無さが最たる要因ではありますが、国内からの反応や問い合わせは海外のものに比べ小さいのです。

最も近く、最も容易にコンタクトが取れるはずなのに、この温度差は少々虚しいものがあります。
世界を舞台に活躍するデザイナーやアーティストからは口を揃えたように「日本では仕事をする気にならない」という話をよく聞きます。日本には文化的な価値を評価できる人が少ないというのがその理由だと聞きます。国内のメディアは誰かが評価したデザイナーやアーティストでなければ取り上げようとせず、その価値が理解されないために報酬も適正でないのだそうです。日本では未だ商業的なデザインが幅をきかせています。残念な事にコスト削減が第一で長期的な視点を持たず、売る事が最優先されています。狭い視野でのその行動は環境への不可や、貴重な資源の浪費が伴う事は言うまでもなく、人材の流出により産地の弱体化が起こり、伝承すべき技術を失い、なにものにも代え難い文化的な価値の損失を招いています。
このような状況からの脱却が必要なのは明白です。そのような状況を左右するデザインの意味もその存在すらも問われる時代に突入し、世界ではその流れが大きくシフトしはじめている中、日本ではそれが未だ見られません。
今回DESIGNTIDEに参加した目的は自らの実行力を示し、自らの発言力を増す事でした。この実行力をもって社会が必要としているデザインを提供していくという意思表示であり、まだまだ無力ながら水面下ででも流れを作ってきたいという想いの現れ
でした。
商業的とは言えないデザインは作る側も見る側も素直に楽しめ、そこに込めたメッセージが純粋に伝わります。
商業的なことが悪い訳ではないけれど、デザインをもっと純粋に楽しむことができる土壌が日本にもあってもいいのではないかと思っています。もともと日本は世界に誇るものづくりの国です。他の国にはまねのできない優れた技術力や職人の力が存在しています。その力とデザイン力が合わさればきっと楽しいはずです。

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※撮影は写真家の山本育憲氏によるものです。

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2010年11月24日

006:豊田市美術館 

豊田市美術館で行われている「石上純也-建築のあたらしい大きさ」展に行ってきました。先頃銀座の資生堂ギャラリーで行われた展示が拡大された形で拝見できるのかと思っていたのですが、豊田市美術館の空間に合わせて練られた魅力的な展示構成となっていました。
狂人的ともいえる緻密な作業の集積により展示物の迫力は十分で、山下清の貼り絵やジャクソン・ポロックのアクションペインティングのような、美しくも尋常ではない強いインパクトがありましたが、内容もビジュアル的にも、良くも悪くも美術館で見る作品らしくないというのが展示を見た感想です。
見る者の期待感を煽り、いずれリアルな建築に到達したいという氏の異常とも言える熱意がアート性を増幅させていたのかもしれません。石上氏の思考途中の頭の中を垣間見るような新鮮な感覚と、自由で柔軟な発想により刺激を受け、遠路遥々訪れた甲斐がありました。 ただ、建築ともアートとも言えない未開拓の分野を切り開いた功績として、作品の完成度に無関心な事が正当化されているようなふしがあるようにも感じ、その意味で美術館で見る作品らしくないと感じたのかもしれません。ザハのように建築を作らなかった時代の期待を実作が大きく上回る事があるのかどうか、今後の活躍に注目したいと思います。
展示会場には敏感なアンテナを持った学生が多く訪れていました。その大多数が石上氏のように注目される建築家になりたいと切望されているようでしたが、表面的な作風や言動を真似しようものならそれほど陳腐な事は無いという事と、これら常人とは思えない緻密な作業を氏の手となり行った名も無いスタッフの存在に気付いていたらいいなと思いながら会場を後にしました。
 
 
「石上純也-建築のあたらしい大きさ」展
会期:2010年9月18日[土] ~ 12月26日[日] 会場:豊田市美術館 http://www.museum.toyota.aichi.jp/home.php
豊田市美術館の美しさには何度訪れても感動します。
 


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2010年11月24日

005:トコノマ 

一昨年に富山県高岡市の伝統工芸師を訪ねて回る機会があり、その際に加賀藩前田利長の時代から受け継がれた伝統技術の素晴らしさと尊さを教えていただきました。漆の塗り師からは自分が引き継いできた技術は自分の代で消えるという話を聞き、衝撃と危機感を味わったことを覚えています。古くから引き継いできた日本の文化が消えて行くことは残念という言葉 だけでは表現しきれません。

また、普段住宅を設計させて頂いている中で幸いにも和室を要求される機会が多く、伝統的な空間構成について頻繁に思考を廻らせているのですが、中でも床の間の有用性には注目しています。床の間の上で日本の文化は育まれてきたのではないかと思う程です。しかし、自分が暮らしている都内のマンションには当然のように床の間はありませんから、それが少々不満でもありました。
そんな二つの事象が相まって高岡市の職人さんに製作して頂いたのがトコノマです。h220430の作品としてホームページにも掲載していますが、懐古主義的な発想からではなく、現代の生活スタイルが容易に受入れることのできる新しいトコノマを考えました。装飾としてではなく、眺めるため、もしくは崇めるためにモノを飾るという現代人が忘れてしまった行為を再び呼び戻すための家具であり、現代生活から抜け落ちた潤いを呼び戻すための家具として今住んでいるマンションのリビングで活躍してくれています。

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※撮影は写真家の山本育憲氏によるものです。

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2010年11月23日

004:知恩院 

京都を訪れる度に気付かされるのは、本来の日本の住宅が持っていた魅力です。

美しい町屋を見ながら歩いていると、現代の日本の住宅はなぜ魅力を失ったのかということを考えずにはいられません。
仕事上様々な住宅を拝見しましたが、京都の町家は広い訳ではなく、高級な材料を使っている訳でもないのに、大変魅力的です。坪庭を有する構成は光や空気の流れを室内に導くだけではなく精神的な豊かさをもたらし、道に面して立てられた黒塀や格子や庇が、個性を守りながらも町並みの調和を保っています。建物の構成から小さなパーツに至るまで広い視野を持って創造され、さらには細部まで精神が込められています。

我々はこれまでに火災や地震を経験し、現在では建築基準法により安全な町が形成されることを目的とした様々な規制を受けていますし、工業化・機械化が進んだ事により人件費は高騰し、高い技術力を持った職人は減少し、木などの天然素材は希少価値を帯び、できる事が限られてきたことを受け入れなければならないのは事実です。また、法的な規制をクリアしながら経済的なバランスを保とうとすると、パーツを機械的に組み立て完成するような住宅メーカーや建材メーカーの存在も受け入れなければなりません。
しかしそれらの多くが広い視野を持ち精神を込めて創造されたものかというと疑問を抱かざるをえません。
特にサッシなどの住宅部品や住宅デザインの分野でその疑問は膨らみます。
それらを改善するためにはその分野で広い視野を持ったデザイナーが活躍する必要があります。
いつか日本の住宅の魅力を呼び戻す事に貢献したいと思いながら京都の路地を歩き、知恩院へ向かいました。
写真は紅葉がライトアップされた夕刻の知恩院です。
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