h220430memo - BRASH BLOG

2011年2月の記事

2011年02月28日

044:Powers of Table 

http://www.dezakuri.com/index.html

昨年、経済産業省によって日本のデザインという無形物の輸出を促進しようという試み「ジャパンデザイン+」 デザイナー海外派遣プロジェクトが実行されました。

経済産業省が輸出先の需要と日本のデザイナーをマッチングさせるというこの企画には原研哉氏や永井一史氏が運営側に加わったこともあり、停滞する日本から海外の市場へと触手を伸ばそうとする若手デザイナーから大いに注目を集めました。しかもその輸出先は今最も勢いのある中国。

はたして需要はあるのか。仮に需要があってもそれが仕事として成立するのか。多くの疑問が残ったまま経済産業省と審査を通過した若手デザイナー20人が中国へ旅立ちました。僕自身もこの企画に興味を持ちましたが、中国への不安や国内での地盤固めを先行すべきという考えによって持ち越していたためその企画のその後に強い関心がありました。そんな折に経済産業省による結果報告会があると知り出席して参りました。

そこで聞かれた意見は以下のようなものでした。

・現状の中国でのデザインに対する評価(=報酬)は大方低い。しかし中国の勢い(量)は見逃せない。

・中国はモノを作れば売れるというのが現状である限り真のデザインは現状では通用しない。

2012年夏以降に中国の勢いが行き詰まるという予測のもとで、それ以降にモノを売る手段としてのデザイン需要に応えられるような体制作りが必要。

・首まで中国に浸かる覚悟が無ければ中国は外部の人間を受け入れてくれない。

要するに現状では経済産業省の力を借りてでも、中国でデザインを受け入れてもらうというのはなかなか厳しい状況ではあるということでした。

しかし、経済産業省のこのような試みはとても意味があるものだったと感じています。デザインが輸出の対象となりえる価値あるものであるとした経済産業省の判断と、しかも若手にそのチャンスを提供した事は注目すべきだと思います。日本のデザインはアジア圏では一応先進的であり中国が今後デザインを必要とする時が訪れれば、日本のデザイン力は必要とされるはずです。そこへのルートを将来のために開拓しようとしたことと、中国に限らず海外へのデザインの輸出の必要性を訴えたことは有意義なことだったと思います。

ただし、質より量を重視したり、モノを売るための手段としてデザインを用いることには様々な悪影響があることは日本は既に学んだことですから

単に需要があるから乗り込むのではなく、正しい選択を促すことに力を注ぐために乗り込むという意識が大切だと感じました。

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Powers of Table

pot

http://www.h220430.jp/0212/00.htm

1968年にCharles Eamesによって作られた短編映画 「Powers of Ten」へのオマージュとして生まれたテーブルです。

環境問題の悪化や争いを引き起こす一つの要因として人 の視野の狭さが挙げられます。人が机に向かって何かを考えるとき、Powers of Tenで描かれているようにあらゆるスケールを縦断しながら広い視野をもてたなら地球上の 多くの問題は改善するのかもしれません。

我々が生活する大地を切り取ったかのようなこのテ ーブルに向かえば誰もが遥か上空から大地を見下ろしているかのような広い視界を得ることができます。

W:1500 D:700 H:700

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2011年02月22日

043:Confederate Motor Company 

http://www.confederate.com/

写真はアメリカのバイクメーカーConfederate Motor Company社のおよそ1100万円のバイク「Fighter」です。

メーカーによると排気量1966ccのエンジンが195kgの車体を時速300キロで走らせてしまうのだとか。

そんな価格やスピードに負けないくらいこのデザインには存在感があります。有機的なラインが主流の現代デザインの中で際立って異質ですが、やはりこれが機械的なもののデザインとして正当なのではないかとさえ思わされます。

このデザインからは新しさはそれほど感じられません。しかし、恐らく100年後に見ても魅力的に見えるのではないでしょうか。建築にしろ、機械にしろ物理的に長寿命であるもののデザインはやはり長寿命であるべきです。その点で「Fighter」のデザインには学ぶべきところが多いように思います。

fighter

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2011年02月21日

042:「包むー日本の伝統パッケージ」展 

http://www.mmat.jp/

目黒区美術館で「包む ー 日本の伝統パッケージ」展が開催されています。

自宅には「こころの造形 ー 日本の伝統パッケージ」というタイトルの古い写真集があります。

この写真集は今目黒区美術館で展示されているモノの多くを収集された岡氏が1974年に美術出版社から出されたもので、

日本各地に古くから伝わる「包む」デザインが数多く紹介されています。

しかしそれらの多くが現在では採算が合わないとか、技術の伝承がされなかったとか、材料が採れなくなったという悲しい理由で実際には見ることができなくなっています。それらからは日本人のセンスや気質が感じられ、叶うならば実物を見てみたいと常々感じていましたので今回の展示は自分にとっては待望の企画でした。

会場には日本人が忘れてしまった自然への敬意や失ってしまったセンスがとても美しい形のまま展示されていました。

万物に神が宿ると考えていた日本人にとって、万物が平等であり、ゆえに万物が愛すべき対象であり、

さらには限られたモノと限られた情報の中で時間による淘汰を経て生き残った「包む」デザインは万物への愛と神聖さが感じられる感動的なパッケージが数多く展示されていました。

例えば「いなほ」というお酒のパッケージはまさにたわわに実った稲穂で包まれており、新鮮なお米から作られたであろうことが感じられ、同時に稲穂という材料への愛や、手間をかけて丁寧に「包む」ことで購入者への愛が表現された素晴らしいデザインだと感じました。

普段美術館で展示されているモノとは異質であり、ある意味ではこれが美術館で展示されるべきモノなのかという意見があるかもしれませんが

難解な現代アート展よりもよほど心に響く展示でした。

inaho

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2011年02月13日

041:Maison&Objet 

http://www.maison-objet.com/

1月21日〜25日にフランス パリで行われた国際的デザインイベント「Maison & Objet(メゾン・エ・オブジェ)」の公式パンフレットでh220430が紹介されています。世界中からデザインの今が集まるイベントの公式パンフレットでまだ作品数の少ない我々の為にページを割いていただけたことに感謝しています。

maisondeウクライナの雑誌「EGO」2011年2月号にもh220430のBalloon benchが掲載されています。

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2011年02月11日

040:ブータン伝統住居 

http://premium.nikkeibp.co.jp/em/column/itou/54/02.shtml

ブータン王国建設省によって著された「ブータン伝統住居」という本を手に入れました。

ブータンの伝統的な建築は日本の伝統建築に似た深い庇のある木造建築で、親しみやすく、どこか懐かしいデザインです。ブータンの厳しい自然環境の中で淘汰され、生き延びた伝統建築は先人の知恵の集積です。眺めているだけで感動すら覚えます。

この本には建築以外にも情勢であったり、気候であったりとブータンに関する広範な情報が掲載されていいるので建築に縁のない方にとっても見応え十分です。

ここ最近GNP(国民総生産)ならぬGNH(国民総幸福量)という指標が注目されていますが、ブータンではこの指標を70年代から採用しており、世界で最も幸福度が高い国だと言われています。

経済の指標では豊かさは表されませんし、経済の指標に従順ではゆとりを手に入れることはできそうにありません。

経済評論家の伊藤洋一氏のコラムでブータンとGNHについて詳しく知る事ができます。

ちなみに2006年にレスター大学(イギリス)が発表したGNH(国民総幸福量)ランキングで日本はなんと90位。先進国の中で最下位です。

bhutan

現代ではインターネットを活用すれば日常の問題の多くは解決できます。

坂本竜馬の時代には江戸から薩摩へ行くのにも何日も掛けて移動していたのに、我々は車や飛行機やロケットという素晴らしいツールを手に入れて、地球の裏側にもその気になればその日のうちに移動することができます。

我々はそれほどに進化したツールを持っていながら相変わらず忙しく、ゆとり無く、日々をかろうじてやりくりしています。

竜馬や弥太郎が一代で成し遂げた偉業を現代人はこれらの素晴らしいツールを駆使しても成し遂げる事ができないように感じるのは何故なのか。ロマネスク時代の装飾は現代の装飾よりも数段美しいし、江戸時代に生まれた文化以上に美意識を触発するような文化が現代に生まれているかというと疑わしいのは何故なのか。そんなツールが無かった時代や地域に幸福度という点で日本は劣っているという現実を、この「ブータン伝統住居」から感じる事ができます。

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2011年02月10日

039:180° SOUTH 

http://www.180south.jp/

先日知人の勧めで映画「180° SOUTH」を見ました。

単館映画なので知名度がやや低いのですが、現代版エンドレスサマーとも言えるサーフカルチャー独特の緩さが印象的な心地良い映画でした。「パタゴニア」の創業者と「ノースフェイス」の創業者が創業以前に決行したパタゴニアへの旅で衝撃を受け、その後アウトドアトップブランド「パタゴニア」と「ノースフェイス」が生まれたと聞くとそれだけでドラマチックですが、その際に彼らによって撮影された記録映像に感化されたアメリカの青年が彼らと同じルートを辿るパタゴニアへの旅を記録したドキュメンタリー映画です。かつての美しいパタゴニアが現在はという重いテーマを含みながらも、自然の尊さ、美しさ、そして人間の広い意味での逞しさを再認識させられる素敵な映画です。

「自然こそが偉大なる教師」とはF.L.ライトの言葉ですが、この映画の美しい自然を捕らえた映像の数々からは多くを学ぶ事ができます。

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2011年02月05日

038:酒井重工 

http://www.sakainet.co.jp/

狙って得た美しさではなく自然に備わった美しさをもつデザインを柳 宋悦は「アノニマスデザイン」と名付けました。それはいつの時代にも見る者に理由なく美しいと感じさせる実直で野性的で強いデザインだと言えます。

デザインという言葉がなかった頃につくられたものや、古くから今なおつくられている民芸品等に対してよく使われるアノニマスという言葉ですが、時折道路工事で見る酒井重工のロードローラーからもそのアノニマスな美しさを感じます。機能を最優先したそのデザインは無骨でありながら愛らしく、狙わずして(?)美しく、最近の車のデザインには見られない普遍的な魅力を感じます。

このようなデザインに遭遇した時に得られる感動だったり幸福感を感じた時がデザインを好きで良かったなと思う瞬間です。ロードローラーを見て幸福だと感じられる幸福。

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世界の椅子のデザインを収集しているchairdesigning.comにSilhouette ChairとGrandmother’s chairが掲載されています。

http://www.chairdesigning.com/search/h220430

silhouette2

Silhouette Chair

「何にも支えられることなく人が座っている」という非日常が日常の中に介入した時、それを取り巻く空間の質は大きく変わります。そのような非日常を日常にできるだけ違和感無く溶け込ませたいと考えました。

Silhouette Chairは何も無いところに座るという非日常を、影の形をした構造が支えることで成立させています。

それをホールやロビーなどに用いて、非日常と日常の融合を図りたいと考えています。そこに座った人やそれを見た人に、これまでの椅子の尺度では測りきれない価値を感じてもらえれば幸いです。

material : スチール size : W 520  D 900  H 1350  SH 400

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