日本の教員は多忙で孤独で自信がない - Father's Eyes

2014年06月27日

日本の教員は多忙で孤独で自信がない 


日本の中学校の教員は忙しいという調査結果をOECDが発表した。しかも授業以外のことに時間がとられているという。これ、まったく新しい情報でも何でもなくて前々からわかっていたこと。今回も前と同じ結果だったというだけ。しかも同じことが、小学校の教員についても前々からいわれている。

 

授業以外のことに時間を取られている理由として、長時間におよぶ部活がとりざたされている。2013年10月には、長野県で部活の朝練を禁止するというニュースが報道されていた。学力優先のいやーなムードと捉えた人も多かったのではないかと思う。しかし、私は正直「それもありだよな」と思った。日本の部活熱は常軌を逸している。自分たちが育った環境が当たり前だと思っているひとたちからしてみるとにわかには受け入れがたい発想だとは思うのだが、実際日本の中高生では、1週間の総授業時間よりも部活時間のほうが長いということもざらだ。

 

日本の部活は、一度入部したら最後、極限まで練習し、部活一筋になることを要求されることが多い。ひと言で言えば軍隊式だ。海外のように、複数のスポーツを並行してやったり、学期によって変えたりという柔軟性が少ない。少しでも時間があれば練習する。どんなに疲れていても、休養より練習を優先する。チームのために、自己を犠牲にすることが美徳とされる。冷静に考えてみると、これっていわゆるブラック企業の構造と同じなのだ。長時間労働や自己犠牲的な労働観を刷り込み、誰のための勝利だからわからない勝利のために邁進する集団をつくる構造。ブラック企業が跋扈する原因の一つに、中高時代の部活で植え付けられた非理性的信念があるだろうと私は思っている。

 

ただし、教員を忙しくしているのは、部活だけではない。昨今の学校現場における「会社ごっこ」のせいで、事務処理量が激増しているのである。授業準備よりも、教育委員会に提出する書類を作成することに、教員の時間を奪われてしまっている構造的な問題がある。しかも、昨今の学校現場へのしめつけによって、教員は常に管理・監視される立場になってしまっている。それでは自尊感情が低下するのも無理はない。それが今回の調査結果「自信がない」に如実に表れている。また、成果主義の人事考課制度が導入されたことにより、職員室内のチームワークにもヒビが入りつつある。ストレスを感じたときに誰に相談するかという質問に対し、世の中一般では、6割以上が「上司・同僚」と答えているにもかかわらず、教員で「上司・同僚」と答えた割合はたった14%だった。教員たちはそれぞれ孤立し、職場に相談相手もいないのである。

 

多忙に加え、孤立し、自尊感情が著しく下がってしまった場合、人には2通りの反応がある。一つは内に向かってしまう場合。要するにうつ病状態になる。実際、精神疾患で休職している公立学校の教員数はこの10年間で約3倍になっている。これは世の中一般のデータと比較して約2倍近い増加率だ。もう一つの反応は、外の向かう場合だ。他人に対して過度に攻撃的になることが考えられる。体罰まではいかなくても、言葉による暴力、態度による暴力で、生徒をいたぶるようになる。これを私は「オバタリアン教師」と名付け、『オバタリアン教師から息子を守れ』という本を著したばかりだ。特に50代女性にこの傾向が強く、またそのスケープゴートにされるのは元気のいい男の子であることが多いからだ。

 

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その本の中には、教師がどれだけ忙しいのか、なぜ忙しいのか、学校現場における「会社ごっこ」の実態、とはいえいくらくらいもらっているのか、などなど、さまざまなデータと現場の教員たちのインタビューが掲載されている。上記に概要だけ記したデータ類も、もちろん細かく掲載している。それ以外の関連データも豊富に詳細に掲載している。今、学校の現場がどんなことになっているのか、よくおわかりいただけると思う。そしてその状況をどうすれば少しでも変えられそうなのか、私なりの提案も書いたので、ぜひご参照いただきたい。

 

教員がベストコンディションを保てなければ、そのしわ寄せは結局子どもに行く。今のような状態を放置することは、次世代に対する社会の無責任だと思う。



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