育休取得より大事なこと - Father's Eyes

2014年07月07日

育休取得より大事なこと 


※FQ ONLINEの連載記事をここにも転載。

http://fqmagazine.jp/13514/oota4/ 

 

 

 

育休取得率にこだわるのは偏差値教育と同じ

 

 国を挙げてイクメンだとはやしたてても、男性の育休取得率が上がらない。

http://biz-journal.jp/2014/06/post_5108.html

 

 最初に断っておくが、「育休取得率を何が何でも上げよう」と数字にこだわることは、偏差値のために勉強するようなもので、本質的ではない。育休取得が自己目的化されてはいけないと、私は考えている。男性の育休は、夫婦でそろって子育てをするための一つの手段であって、何も育休という形にこだわる必要はない。

 

 上の記事のように、インセンティブを強調することで男性の育休取得率を上げるという方法もなくはないが、インセンティブのために育休を取るということは、たとえば景気が良くなってインセンティブが相対的に弱くなると、育休取得率は再び下がるということになる。そういう構造の中に育休を置いてはいけないような気がする。

 

 

イクメンは不況の産物

 

 もともとイクメンは不況の産物ともいえる。景気が良くて、仕事をすればするほど儲かるようなときは、男は仕事を優先しがちになる。しかし不況で、仕事をしてもなかなか成果が上がらないときには、家庭にいるようになる。魚の群れが来ているときには1日中海に出るが、時化のときには家で過ごす漁師のようなものだ。

 

 実際、私が運営するサイト「パパの悩み相談横丁」に寄せられるパパたちからの相談件数は、景気に左右される。株価が上がると相談は減る。株価が下がると相談は増える。不思議なものだ。もし景気が良くなれば、イクメンの存在感は薄れ、育休取得率も下がっていくであろうと私は数年前から予言していた。

 

 

育休取得率を上げようとすること自体が間違い!?

 

 それにしても、これだけイクメンだ、男も育児だと世の中のムードは変わってきているのに、なぜ育休取得率はいっこうに上がる気配を見せないのだろうか。ここで今まであまり公には言ったことがなかったが、うすうす思っていたことを告白しようと思う。

 

 ここまでやっても変わらない。てこをもっても変わらないということは、構造的にそちらの方向には動かないということではないか。そもそも育休という制度が、日本の企業文化にあっていないということではないか。育休取得率を上げようという試み自体が無理ゲーなのではないかということだ。その企業文化自体を変えていくことには長いスパンで取り組まなければいけないと私も思う。しかし一方で、今すぐすべきことは、意地になって育休取得率を引き上げることではないように私は思うのだ。

 

 くり返すが、男性の育休取得は、夫婦で助け合って子育てをするための一つの手段であって、それ自体が目的ではない。であれば、男性が育休を取得しなくてもうまくいく方法を考えるほうが建設的かつ現実的ではないか。要するに「押してダメなら引いてみろ」ということだ。ちなみに私は長男が生まれたときに、育休を取るのも面倒くさくて会社を辞め、フリーランスになったのだが、そういう無鉄砲をおすすめするわけではないので、ご安心を。

 

 

男性が育休を取るべきタイミングは2回

 

 もし男性が、育休を最低限だけ取るのだとしたら、優先すべきタイミングは2回ある。

 

 1回目は当然、出産直後の数週間だ。産後の肥立ちを良くするために、妻の負担を極力減らす目的だ。実家からおじいちゃん、おばあちゃんが応援に来てくれたり、妻子だけしばらく実家に預けたりということでない限り、出産直後の妻が一人で何から何までやるというのはちょっと負担が大きすぎる。

 

 もちろん夫が育休を取得することが理想であるが、それが難しいのであれば、午前中だけ在宅勤務を認めてもらうとか、それこそ16時上がりの時短勤務を認めてもらうとか、そういう多様な働き方があってもいいのではないか。現状では、普通に働き続けるか育休を取得するか、ゼロか百かのようになってしまっているのではないだろうか。変則的な勤務のせいで周りの同僚にちょっとした負担を追わせてしまうのであれば、産後の肥立ちが落ち着いたころにでも、「ありがとう。おかげで妻も子どもも元気だよ」といって居酒屋でご馳走すればいいのだ。

 

 

育休を取らなくてもできる強力サポート

 

 2回目に男性が育休を取るべきタイミングは、妻が職場に復帰した直後の数週間だ。国が定める男性の育休制度もそれを見越して、「出産後最初の8週間以内に男性が育休を取ると、子どもが1歳2カ月になるまでにもう一度男性が育休を取れる」仕組みになっている。しかしそれが意外と知られていない。

 

 母親が職場に復帰した直後は、ただでさえ母親自身、久しぶりの仕事に戸惑うことも多いし、子どもも保育園に不慣れだし、さまざまな病気をもらってきて、しょっちゅう熱を出し、お迎えに行かなければいけなくなることも頻繁に起こる。そこで、父親が、サポートできるか否かは、母親がスムーズに社会復帰できるかどうかに大きく影響する。せっかく社会復帰しても仕事と家庭の両立に限界を感じ、結局退職してしまう母親には、そういった事情もあるだろうと推測できる。

 

 逆に言えば、そこでしっかり妻をサポートできるのなら、育休を取得する必要はない。保育園から子どもが熱を出したと連絡があったら、久しぶりの仕事でテンパっている妻ではなく、父親が迎えに行ければいいのだ。それを見越して、妻が職場復帰する直後の数週間は業務量を減らすなどの策を予め講じておけばいいのだ。育休のようにゼロか百かにするのではなく、動きやすい体制を整えて待っておけばいいだけだ。それくらいの調整なら、「できるビジネスマン」ならできるんじゃないだろうか。そのような呼びかけをするだけでも、母親が社会復帰しやすい世の中になっていくと思う。

 

 

「何が何でも育休」という思い込みを手放そう

 

 つまり、育休という「形」にこだわるのではなく、「実」を取るということ。

 

 そうしたら、企業文化もじわりじわりと変化を起こし、逆に、そこから男性の育休取得率が上がり始めるかもしれない。急がば回れというわけだ。

 

 イクメンブームというのも一段落した感がある。そろそろ「何が何でも育休」という思い込みを、一度手放してみてもいいのではないだろうか。



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